データでみる外国人新規入国者
政府の観光誘致政策や新たな在留資格の創設を受けて、日本を訪れる外国人の数は随分と増えました。
これを受けて観光業界や旅行業界では、“インバウンド”向けに様々な取り組みが行われてきました。
また、新たな在留資格の創設等による外国人の雇用が広がってきています。
この“インバウンド”や“外国人の雇用の広がり”により、日本全国で外国人新規入国者数が増加を続けてきています。
そこで、外国人新規入国者に関する推移をデータで見てみましょう。
1 外国人新規入国者数(総数) ※再入国者・特例上陸許可者は除く
(「法務省 プレスリリース」参照)
令和元年における外国人新規入国者数(全在留資格の総数)は、2800万人を超えており、増加率は減少しているものの、平成27年から令和元年まで増加を続けています。
増加した要因としては、政府の観光誘致政策の一環としてのビザ規制緩和や新たな在留資格の創設、日本企業における外国人材需要の増加等が考えられます。
2 外国人新規入国者数(短期滞在) ※再入国者・特例上陸許可者は除く
(「法務省 プレスリリース」参照)
令和元年における外国人新規入国者数(短期滞在)は、2700万人を超えており、増加率は減少しているものの、平成27年から令和元年まで増加を続けています。
増加した要因としては、政府の観光誘致政策の一環としてのビザ規制緩和や観光業界全体としてのインバウンド対策の拡充(多言語対応・キャッシュレス決済等)やクルーズ船の就航が増加したことが考えられます。
3 増加率比較(総数と短期滞在) ※再入国者・特例上陸許可者は除く
(「法務省 プレスリリース」参照)
外国人新規入国者数(全在留資格の総数)と外国人新規入国者数(短期滞在)を比較してみると、ともに平成27年から増加率は減少傾向にあり、増加率はほぼ同様であることが分かります。
外国人新規入国者数のうち、97%以上を在留資格「短期滞在」が占めているため、ほぼ同様の増加率で推移しているものと考えられます。
4 今後の展望
これまでは、観光等(短期滞在)で来日する外国人も非常に多く、毎年のように訪日外国人観光客数の最高記録を更新していました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日外国人はほどんどいない状況となりました。
日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数によると、以下のようになっています。
訪日外客数 | 対前年同月比伸率 | |
2020年1月(暫定値) | 2,661,022人 | -1.1% |
2020年2月(暫定値) | 1,085,147人 | -58.3% |
2020年3月(推定値) | 193,700人 | -93.0% |
2020年4月(推定値) | 2,900人 | -99.9% |
旅行業や観光業、宿泊業にとっては非常に大きな影響を及ぼしています。
新型コロナウイルス感染症の収束により、直ちにこれまでと同じような訪日外国人観光客数が戻るかは分かりませんが、少なくとも現状よりは快方に向かうのではないかと思います。
ただ、インバウンド需要に頼りきっていた企業は、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により苦境に立たされ、今後の事業経営のあり方を再考するきっかけになるのかもしれません。
新型コロナウイルス感染症が収束する目処はたっていませんが、これから先の事業展開では、インバウンドをどのように捉えて事業を運営していくかを改めて考える必要があるように感じます。
一刻も早い新型コロナウイルス感染症の収束、経済の回復が期待されます。